熊大ならではの、強く美しい橋を目指せ! [工学部社会環境工学科構造力学研究室]

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熊本大学工学部社会環境工学科構造力学研究室では、鋼構造物の耐震?免震?制震、橋梁の終局耐震設計法の開発,構造物-地盤の動的相互作用を考慮した構造物の地震時挙動を研究しています。この度、熊本大学が日本鋼橋模型製作コンペティションの開催校となり、運営、出場の両面で研究室の学生が活躍しました。

熊本での大会で、熊大ならではの橋を!

image02.jpg 実際の橋と同じ構造、同じ素材を使って、全長4mの橋の模型を作り、技術を競う大学対抗の大会があります。それが日本鋼橋模型製作コンペティション(Japan Steel Bridge Competition)です。2015年は8月28日、29日に、熊本大学で開催されました。実際の橋梁の設計基準や、現場の状況などを想定した採点基準が設けられるこの大会では、毎年、全国から工夫を凝らした橋が見られます。熊本大学工学部社会環境工学科構造力学研究室を中心に集まる有志チームも毎年挑戦。組立の早さを競う架設、見た目を評価する美観、規定のたわみ値を満たすかを競う構造の3部門のほか、総合評価の4つの部門での入賞を目指し、4月から設計、加工に取り組んできました。
今年の熊本大学チーム名は「Pont de Kuma(熊の橋)」。20名を超えるメンバーが集まりました。「チーム名は毎年変わるんです。今年の名前は、石橋で有名なフランスをイメージしました。熊本の橋を造ろう、という意気込みです。橋の形式は、以前も作成したトラス橋ですが、その中でも作ったことがない三弦トラス(*)を選択しました。色は熊大カラーの紫紺とうこん色をイメージして熊大らしさを表現しています」と語るのは、チームの代表を務める工学部社会環境工学科4年の牛塚悠太さん。部材加工を自動機械で行うチームもある中、最初から最後まで自分たちの力だけでやることにもこだわりました。「また、今年の開催地は熊大ということもあり、大会に参加して成績を残すだけでなく、大会を無事に運営することも目標です」。

*三弦トラス橋
細長い部材を両端で三角形に繋いだ構造を繰り返して桁を構成したものがトラス橋。三弦トラス橋は、断面が三角形になったもの。

橋梁建築を擬似体験する楽しさ

image03.jpg 模型を作る際は、本物の橋を作る時と同じ手順で行います。授業で学んだ知識を実際に体験できる貴重な機会となります。
「三弦トラス橋は部材が少ないことでコストや架設時間を抑えることができます。あとは、計算上出たたわみの値にどれだけ近づけられるが課題です」と架設チームをまとめる工学部社会環境工学科4年の小原礼さんは言います。「架設制限時間は40分なのですが、熊大は20分を目指しています。架設時間をかけてでも、しっかりボルトを締めて、計算値に近づけるのが狙いです」。
今回の制作では、溶接技術も工夫のポイントでした。どんな溶接手法をとったらよいか。実際に橋梁建設に携わっている人や、先生たちにさまざまな相談を重ねる中で、熊大の橋はカタチになっていきました。
夏休みも返上して、架設しての試験や練習を繰り返しました。少しずつ調整しては、メンバー同士が意見を出しあい、改善を重ねて、再度実験。大会当日まで試行錯誤を繰り返しながら、熊大の橋は目指す姿に近づいていったのです。 image04.jpg

大会当日!結果は????

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8月28日。全国から19大学20チームが集まった熊本大学工学部百周年記念館。運営スタッフと参加スタッフが業務を分担しての大会が始まりました。初日は、架設時間を競う架設競技と、美観競技が行われ、二日目におもりをのせて橋を渡し、たわみを計測する載荷競技が行われます。
初日、熊大は5グループ目に登場。他チームが見守る中、架設競技に臨みました。6人が力をあわせて、自分の役割をしっかりこなしていきます。メンバーが重要視していた「ボルトの締め」も最終確認までしっかりと。時間をかけても思うような架設ができました。
翌日は、作品プレゼンの後の載荷競技。基準値をオーバーするチームも多い中、紫紺の橋の上を200kgのおもりを載せた台車がゆっくりと動いていきます。「実は、150kgまでしかテストできなくて、橋が壊れないかとても心配だった」と小原さん。少しずつたわんでいく橋を、チーム全員が心配そうに見守る中、モニターにたわみ数値が表示されていきました。熊大チームのたわみ値はほぼねらい通り! 会場からも歓声があがりました。「この瞬間、やった!と思いました。大会一番の思い出です!」とチームの紅一点、3年の松田楓さん。チーム全員の顔がほころびました。
結果は、総合3位。目標だった「入賞」をチーム全員の力で実現できました。
「『自分たちで最初から最後まで』という信念をくずさず、一丸となって取り組めたことが、結果につながったと思います。来年は、今回のよかったところを活かして、もっといい橋を作って、優勝を目指したい!」。新たなメンバーが入っても牛塚さんたちの思いは、次の代へと引き継がれていきそうです。
(2015年10月05日掲載)
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